施工実績
祖父母の家を、孫家族のこれからへ|中野区・築約40年RC住宅3階のスケルトンリノベーション
祖父母が暮らした家を、今度は孫家族の暮らす家へ。築約40年のRC住宅の3階を、間仕切りも天井も床も一度取り払い、コンクリートの躯体が見えるところまで戻しました。4人家族のこれからの暮らしに合わせて、間取りも、キッチンの位置も、水まわりも、そして壁の中の配管から組み直しています。

RENOVATION SCOPE / 今回変えたところ
- スケルトン解体
- 間取り変更・一室増設
- キッチン移設
- 給水・給湯・排水の配管更新
- 追い焚き新設
- 和室2室 → 洋室3室
- LDK
- 浴室
- 洗面所
- トイレ
- 玄関ドア・玄関収納
- 廊下
- 収納5か所の造作
- 建具
- 床・壁・天井
- 電気配線・分電盤
- 給湯器
- エアコン・換気
※金額は工事内容・仕様・現場状況により変動します。
PLANNING NOTE
住む人が変われば、必要な間取りも変わります。この住まいは長いあいだ、和室を中心とした暮らしのかたちで使われてきました。今度住むのは、ご夫婦とお子さま2人の4人家族。設備を新しくするだけでは足りず、部屋の数と配置そのものを考え直すところから計画が始まりました。
01 / STORY住み継ぐ、という選び方
この家を建てて、長く暮らしてきたのは、おじいさまとおばあさまでした。
今回の工事は、その住まいを孫世代のご家族が受け継ぐことから始まりました。新しく買った家でも、借りた部屋でもありません。すでに家族の時間が積み重なっている場所を、これからの暮らしに合わせて整え直す工事です。
築約40年のRC住宅。3階建てのうち、住居として使われていた3階部分が今回の工事の範囲です。建物そのものはしっかりしています。ただ、和室が中心の間取りも、壁の中を通っている配管も、この家が建てられた頃の暮らしに合わせたものでした。
私たちが最初に考えたのは、「どこまで戻すか」でした。表面だけを新しくすることもできます。けれど、これから4人の家族が長く暮らしていく住まいです。ご家族と相談したうえで、3階の住居部分を一度、骨格が見えるところまで解体し、間取りから組み直す方針を選びました。
02 / BEFORE長く暮らしを支えてきた住まい
はじめに現地を確認しました。よく手入れされた住まいでした。畳の和室が2室、続き間になっていて、襖を開ければ隣の居間とひと続きの広さになります。天井には竿縁が回り、窓には障子。押入れには天袋がついています。

古い、と言ってしまえばそれまでですが、この住まいは40年近くのあいだ、家族の暮らしを支えてきました。ここで食事をして、休んで、子どもが育っています。私たちの仕事は、それを否定して作り替えることではなく、次の世代がまたここで暮らせるように、役割を整え直すことだと考えています。


台所は、独立した一室でした
当時の図面では、この階の台所は「D.K」と書かれた独立した部屋です。壁で囲まれ、居間とは別の空間になっていました。壁付けのキッチンに吊戸棚、白いタイルの腰壁。料理をする人が家族と離れてしまう配置です。




03 / NEW PLAN2室から3室へ。間取りを組み替える
改修前のこの階には、和室が6帖と8帖の2室、それに居間と、独立した台所がありました。当時の平面図と、解体時に撤去した畳の枚数(14帖分)が一致しています。
新しい間取りでは、この2室の和室があった南側のゾーンを、4.10帖の洋室3室に組み替えました。個室が1つ増えたことになります。同時に、北東側にあった居間と台所の壁を取り払い、15帖を超えるひと続きのLDKにしました。
BEFORE / 改修前
- 和室 6帖
- 和室 8帖
- 居間
- D.K(ダイニングキッチン)壁で仕切られた独立した台所
- 玄関 / 便所 / 浴室 / 洗面脱衣室押入 2か所
個室は 2室
AFTER / 改修後
- 洋室(1) 4.10帖
- 洋室(2) 4.10帖
- 洋室(3) 4.10帖
- LDK 15.18帖居間と台所を一体に。パントリー付き
- 玄関 / トイレ / 浴室 / 洗面所 / 廊下クローゼット 5か所 / 物入
個室は 3室(一室増設)
※室名・帖数はいずれも当時の平面図および改修計画図の記載によります。
PLAN NOTE
部屋数を増やすとき、単純に壁を1枚足せばよいわけではありません。窓の位置、扉の開き方、廊下からの入り方、そしてエアコンや照明の配線までが同時に決まります。今回は和室2室ぶんのゾーンを、廊下側にクローゼットを並べたうえで3室に分けました。収納を先に一列で押さえてから、残りを居室として等分するという考え方です。
04 / DRAWINGS図面の上で、暮らしを一つずつ決める
リフォームは、仕上げ材を選ぶだけの仕事ではありません。家具の置き場所、収納の高さ、照明の色、コンセントの数と位置、インターネット機器を置く場所まで、新しい暮らしを図面の上で一つずつ確認していきます。今回の計画で実際に描いた3枚の図面を、そのままご覧いただけるようにしました。
タップで拡大(原寸で開きます)
タップで拡大(原寸で開きます)
タップで拡大(原寸で開きます)※上のタブで3種類の図面を切り替えられます。図面をタップすると原寸で開き、細かな文字までご覧いただけます。いずれもWeb掲載用に個人情報を消した画像です。
平面図の読みどころ
- 1キッチンの位置を変えた/壁で囲まれた独立した台所から、LDKの北側の壁沿いへ。西端にパントリーを設けています。
- 2居間と台所を一体のLDKに/東面の掃き出し窓2か所から光が入る15.18帖。
- 3和室2室を洋室3室へ/4.10帖の個室が横一列に3つ。個室が1つ増えました。
- 4収納を廊下側に一列で計画/各室のクローゼットに加え、パイプ+枕棚、可動棚、建具を付けないオープン収納を使い分けています。
- 5浴室/既存の窓をふさいで壁とし、追い焚きを新たに設けました。
- 6洗面所/洗面化粧台と洗濯機置き場を並べ、床と壁の柄を変えています。
- 7玄関とトイレ/位置は変えず、玄関ドア・玄関収納・タイル、トイレは便器から内装まで入れ替えました。
※給水・給湯・排水の配管更新は、平面図には描かれない部分です。工事中の写真であらためてご紹介します。
ELECTRIC NOTE
電気の図面には、完成写真には写らない検討が残っています。LDKのダウンライトは調光・調色、キッチンの手元は昼白色、玄関は人感センサー。テレビとインターネットのためのマルチメディア端子、ルーターの置き場所、可動棚の枚数と奥行きまで、この一枚の上で決めました。コンセントの位置は、家具を置いてからでは動かせません。
05 / SKELETON一度、住まいの骨格まで戻す
仕上げを剥がし、間仕切りを抜き、天井を落とす。新しい間取りの線を引き直せるのは、ここまで戻してからです。
着工後、まず内部と水まわりの解体から始まります。畳を上げ、和室の造作と押入れを外し、天井を落とし、間仕切りを撤去していく。1週間ほどで、この階は端から端まで見通せる一つの空間になりました。

天井を落とすと、上の階を支えている大梁と小梁が姿を見せます。床の仕上げをはがすと、コンクリートのスラブが出てきます。窓のまわりの下がり壁を撤去したことで、それまで隠れていた梁の形もそのまま見えるようになりました。ここまで戻して初めて、新しい間取りの線を引き直せます。


壁の一部には、この家が建てられた当時の木の下地や、ボードを貼るために使われた接着剤の跡が残っていました。40年前の職人の仕事がそのまま出てくるのは、この規模の解体でしか見られない光景です。

SKELETON NOTE
「スケルトンにする」といっても、すべてを壊すわけではありません。RC造の建物では、梁・柱・床スラブ・外周壁は構造そのものなので触りません。撤去するのは、その内側にある仕上げ・下地・間仕切りです。どこまでが構造で、どこからが後から付けたものかを見極めるところが、古い建物の解体でいちばん神経を使う部分です。
06 / INFRASTRUCTURE見えなくなるところほど、丁寧に
解体が終わると、次は配管です。この工事でいちばん時間をかけて説明したのが、ここでした。完成すれば床下と壁の中に隠れてしまい、写真にも一切写らない部分です。

築約40年の住まいです。設備機器だけを新しくしても、そこへつながる配管が古いままでは、これから何十年と使う住まいにはなりません。今回は給水管・給湯管・排水管をいずれも更新しました。給水と給湯には樹脂管(架橋ポリエチレン管)、排水には耐火VP管を使っています。


色分けされた樹脂管は、1か所の分岐から各設備へ独立して配る方式です。途中に継手が少ないぶん漏水の心配が減り、あとから点検や交換もしやすくなります。
電気も同じです。改修前の分電盤は主幹40Aで、分岐は8回路。IHクッキングヒーター、食器洗い乾燥機、浴室換気暖房乾燥機、各室のエアコン。これから使う機器を並べると、当時のままの容量と回路数では足りません。分電盤を交換し、既設の配線とコンセントも合わせて改修しました。


PIPING NOTE
水まわりの位置を変える工事では、器具の値段よりも「そこまで配管を持っていけるか」が先に効いてきます。排水は勾配が必要なので、床をどれだけ上げられるかで可能な位置が決まります。間取りを描く前に、まず排水の行き先を確認する。古い建物ほど、この順番が大事です。
07 / HOT WATER追い焚きを、新しく設ける
この住まいには、もともと追い焚きの機能がありませんでした。ご夫婦とお子さま2人の4人家族。入浴の時間が家族それぞれで違ってくることを考えて、今回追い焚きを新しく設けています。
追い焚きは、浴槽を替えれば付いてくるものではありません。浴槽の裏側に接続用のアダプターを設ける加工が要り、そこから給湯器まで新しい配管を通す必要があります。給湯器も、追い焚きに対応したノーリツの高効率ガスふろ給湯器(エコジョーズ・24号・オートタイプ)へ交換しました。
HOT WATER SPEC
- 給湯器/ノーリツ 高効率ガスふろ給湯器(エコジョーズ)24号・オート/屋外壁掛・設置フリー + 台所・浴室のマルチリモコン
- 浴槽側/浴槽裏接続の追焚加工・接続アダプター(TOTO)
- 配管/追い焚き管を樹脂管で新規に配管、給水・給湯・ガス配管を接続
BATH NOTE
追い焚きを後から足したい、というご相談はよくいただきます。可能かどうかは、浴槽と給湯器のあいだに新しい管を通せる経路があるかで決まります。今回はスケルトンまで解体していたので、床下を通して無理なく納められました。浴室だけの部分工事の場合は、先に経路の確認が必要です。
08 / BUILD床・壁・天井を、下地からつくる
配管と電気の経路が決まると、住まいのかたちを作り直す工事に入ります。続いて天井の下地から。コンクリートのスラブから吊りボルトを下ろし、野縁受けと野縁を組んでいきます。この格子が、そのまま新しい天井の高さになります。



和室だった3室ぶんは、床組から解体しています。新しい床は、支持脚で高さを調整できる置床の上に、パーティクルボード20mmと合板12mmを重ねる構成としました。畳と洋室では床の厚みが変わるため、廊下や隣の部屋と段差が出ないよう、下地の段階で高さを合わせています。
FLOOR NOTE
和室を洋室に変えるとき、いちばん見落とされやすいのが床の高さです。畳の厚みぶん、そのまま張り替えると隣室と段差ができます。今回のように下地からつくり直せば、部屋どうしの高さを最初から揃えられます。「畳をフローリング調に張り替えるだけ」との違いは、完成すると見えなくなります。
09 / KITCHEN & LDKキッチンの位置を変える
今回の間取り変更で、いちばん暮らしが変わったのがここです。壁で囲まれた独立した台所を、新しいLDKの中へ移しました。北側の壁沿いに間口2,550mmのI型キッチンを据え、LDK側へ立ち上がりカウンターを設けた対面のかたちです。


シンクに立つと、LDK全体と東面の掃き出し窓まで見渡せます。料理をしながら子どもの様子が分かり、配膳もカウンター越しに済みます。壁付けだった頃と、家族の距離がいちばん変わった部分です。


背面には、幅1,800mmのカウンターと収納を3台。ダストスペース、引出し、そして炊飯器などの蒸気に対応した家電収納庫を並べています。加熱機器はガスコンロからIHへ。既存のガス配管は止栓し、IH用の配線を新たに引きました。

KITCHEN SPEC
- キッチン/クリナップ ラクエラ I型 間口2550×奥行650×高さ850
- 扉/シンシア モカウッド(C4B)/取手:バー取手
- ワークトップ・シンク/ステンレス(コイニングドット柄)/美・サイレントシンク(大)
- 機器/2口IH+ラジエントヒーター / 食器洗い乾燥機(扉面材タイプ)/ フラットスリムレンジフード W90
- 水栓/浄水器一体型 省エネシングル水栓
- 背面収納/フロアカウンター W1800(メラミン・ホワイト)+ ダストスペース/引出し/家電収納庫(蒸気排出ユニット対応)
- 吊戸棚・壁/ミドル吊戸棚 W900×2 / マグネット対応のキッチンパネル
- パントリー扉/アイカ工業 メラミン化粧板による特注扉
KITCHEN NOTE
キッチンを動かす工事では、給排水とガス、電気、そして換気ダクトの4つを同時に考えます。今回は加熱機器をIHにしたため、ガスは止栓し、専用の配線を新設しました。レンジフードの排気を外へ抜く経路も、解体の段階で確認しています。「動かせますか」の答えは、たいてい配管と排気で決まります。
10 / THREE ROOMS4人家族のために、もう一部屋
和室2室があった南側のゾーンは、4.10帖の洋室3室になりました。畳をフローリング調に張り替えただけではありません。天井も床組も一度解体し、押入れも和室の造作もすべて撤去したうえで、間仕切りから新しく造っています。


3室はどれも4.10帖。廊下側にクローゼットを並べ、各室に扉を設けています。「子ども一人に一部屋」と決めてしまうのではなく、家族それぞれが自分の居場所を持てるようにするための3室です。使い方はこれから、暮らしながら決めていける広さにしました。


3室それぞれに、少しずつ違う表情を
3室とも同じ仕上げにはしていません。洋室1は壁と天井の両方にアクセントクロスを使い、洋室2は無地で素直に。洋室3だけは床材を変え、濃いアンティーク調のフロアタイルに、質感のある壁を合わせています。同じ広さの3室でも、入った瞬間の印象が変わります。


収納は、5か所を計画
押入れがなくなったぶん、収納は住まい全体に分散させました。折れ戸のクローゼットが4か所、幅1,645mmを大きく開ける3枚連動の引き戸が1か所、両開きの扉が1か所。さらに、可動棚を4枚入れた収納や、扉を付けずにオープンにした収納もつくっています。中に入れるものを想像しながら、場所ごとに仕様を変えました。

ROOMS SPEC
- 床下地/置床H130 + パーティクルボード20mm + 合板12mm
- 床仕上げ/サンゲツ フロアタイル WD-2079(洋室1・洋室2)/ WD2087(洋室3)
- 壁・天井/SP9708 / アクセント:洋室1 RE55493(壁・天井)・洋室3 RE55699(壁)
- 建具/Panasonic ベリティス PA型(メープル柄) 居室ドア3本 / 収納折れ戸3か所
- 収納/枕棚+ハンガーパイプ 5か所 / 可動棚 / 建具を付けないオープン収納
11 / BATHROOM浴室|設備ではなく、給湯計画から
改修前の浴室は、壁も床もタイル張りでした。解体は、ユニットバスの撤去に加えて、浴室の壁タイルと下地材まで。そのうえで壁の間仕切りをつくり直し、既存の窓はふさいで壁としています。


新しい浴室は1216サイズ。壁は白を基調に、正面の一面だけ濃いグレージュの木目パネルを入れました。浴槽はまたぎやすい形状で、湯が冷めにくい高断熱の仕様。床は乾きやすいタイル調のものを選んでいます。天井には浴室換気暖房乾燥機を組み込み、洗面所の壁でリモコン操作ができるようにしました。

カウンター、鏡、収納棚は付けていません。掃除する対象そのものを減らすという考え方です。かわりに、洗い場で立ったときに使いやすい高さで水栓とスライドバーを納めました。
BATHROOM SPEC
- ユニットバス/TOTO マンションリモデルバスルーム ひろがるWYシリーズ Kタイプ 1216
- 壁/正面アクセント:カルムグレーウッド / 周辺:ミネラホワイト
- 浴槽・床/ゆるリラ浴槽(ホワイト・魔法びん浴槽)/ お掃除ラクラクほっカラリ床 ベージュ
- 追い焚き/浴槽裏接続の追焚加工・接続アダプター(今回新設)
- 換気・暖房/浴室換気暖房乾燥機 三乾王(2室換気・24時間換気)/ ランドリーパイプ
- 水栓・ドア/スッキリ棚水栓+クリックシャワー+スライドバー / スッキリドア(開き戸)
- その他/カウンター・鏡・収納棚なし / 既存窓はふさいで壁に
12 / WASHROOM & TOILET洗面所・トイレ|毎日使うところを整える
洗面所は、既存の洗面化粧台と収納を撤去し、床から造り直しました。新しい洗面化粧台は間口1,100mm。カウンターとボウルが一体になった形で、汚れが溜まる継ぎ目がありません。三面鏡の裏はすべて収納で、扉を開けたまま手が使えるよう照明はセンサースイッチにしています。


洗濯機置き場には防水パンと横水栓を新設。床はヘリンボーン張りの柄、壁の一面には細い線の幾何柄を使い、家の中でここだけ少し表情を変えています。浴室の暖房乾燥機のリモコンも、この壁に納めました。

トイレは、便器から内装まで
トイレは玄関のすぐ隣にあります。位置は変えず、既存の便器を撤去して手洗い付きの一体型便器へ交換。床はクッションフロア、壁と天井はクロスを張り替え、正面の一面だけ小花柄のアクセントを入れました。窓枠と窓台も交換し、ダウンライトを新設しています。


WASHROOM & TOILET SPEC
- 洗面化粧台/TOTO オクターブスリム 間口1100(扉:ホワイトウッド/カウンター:ホワイト)
- 鏡・水栓/三面鏡(タッチレスワイドLED・鏡裏収納)/ お掃除ラクラク水栓F1
- 洗濯機まわり/洗濯機パン + 横引き排水トラップ + 洗濯機用横水栓(新設)
- 便器/TOTO ウォシュレット一体形便器 GG1-800(手洗い付き・ホワイト)
- 内装/洗面所 床 HM-17088・アクセント壁 RE55866 / トイレ 床 HM-17165・壁 RE55421・アクセント壁 RE55939
13 / ENTRANCE & HALL玄関|家の顔を、次の世代のものに
玄関は、この家でいちばん最初に目に入る場所です。改修前は、菱格子の装飾ガラスが入った濃茶の木製ドアでした。長く使われてきた良いドアでしたが、断熱性や防犯性、そして日々の開け閉めのことを考えて、今回交換しています。


新しいドアは、既存の枠を活かして施工できるカバー工法のもの。断熱仕様の親子ドアにランマ付きで、縦に細長いガラスから光が入ります。土間のタイルもグレー系に張り替え、玄関収納は鏡の付いた扉のものへ。照明を人感センサーにしたので、荷物を持っていても手をふさぎません。


STORAGE NOTE
図面に「ルーター置き場」と書き込んでいたのが、この収納です。情報分電盤とLAN・同軸の配線、それにコンセントをここへ集約しました。Wi-Fiのルーターやモデムは、置き場所を決めておかないと結局リビングの床に転がることになります。可動棚にしておくと、機器が変わっても高さを合わせられます。
ENTRANCE SPEC
- 玄関ドア/LIXIL リシェント玄関ドア3 断熱仕様k2 M78型 親子ドア+ランマ付き(オータムブラウン・カバー工法)
- ハンドル・機能/グリップハンドル / フリーストップのドアクローザ / ドアガード
- タイル/LIXIL フォスキー(グレー系)
- 玄関収納/鏡付き扉の玄関収納
- 照明/人感センサー付きダウンライト
14 / MATERIAL素材は、部屋ごとに決めた
内装は、住まい全体を同じ仕上げで揃えるのではなく、部屋ごとに床・壁・天井を決めていきました。基本になるのは、明るい木目のフロアタイルと、白いクロス。そのうえで、部屋ごとに一面だけ、あるいは天井まで、アクセントを入れています。



建具はPanasonicのベリティスで、居室のドア、収納の折れ戸、3枚連動の引き戸、両開きの扉を、場所に合わせて使い分けました。扉も枠もすべてメープル柄で統一し、レバーハンドルや取っ手もサテンシルバーで揃えています。扉の枚数が多くても、視覚的にうるさくならないようにするためです。洗面所とトイレのドアだけは表示錠付きのものにしました。キッチン横のパントリー扉と、窓をふさいだ場所のカウンターには、アイカ工業のメラミン化粧板を使った造作としました。
MATERIAL SPEC
- 床/サンゲツ フロアタイル WD-2079(LD・洋室1・洋室2・廊下)/ WD2087(洋室3)/ 洗面所 HM-17088 / トイレ HM-17165
- 壁・天井/SP9708(基本)
- アクセントクロス/洋室1 RE55493(壁・天井)/ 洋室3 RE55699 / 洗面所 RE55866 / トイレ RE55421・RE55939 / キッチン 背面 RE55678・側面 RE55305
- 建具(居室)/Panasonic ベリティス LB型(LDK出入口・採光部つき)/ PA型(洋室3室)/ DB型 表示錠つき(洗面所・トイレ) いずれもメープル柄
- 建具(収納)/折れ戸 PA型 4か所 / 3枚連動引き戸 PA型 1か所 / 両開き扉 PA型 1か所
- 金物/レバーハンドル・丸型取っ手・角型引手ともサテンシルバー
- 造作/アイカ工業 メラミン化粧板による特注扉・カウンター(JC-12032K)/ 可動棚
15 / PLAN → REALITY計画した空間が、住まいになる
計画の途中、キッチンとLDKの関係を3Dで確認しました。壁付けの台所をLDKの中へ移したとき、通路の幅は足りるか、カウンター越しにどこまで見えるか。図面の線だけでは分かりにくい部分を、立体で見ながら決めています。


※3Dパースは計画段階で作成した検討用のもので、撮影アングルも仕上げの色柄も完成写真とは異なります。位置関係をご覧いただくためのものです。
16 / TIMELINE約3か月の記録
- 相談時
現地調査
住まいを一室ずつ確認し、当時の図面と照らし合わせながら、変えられるところと変えられないところを整理しました。
- 序盤
着工・スケルトン解体
着工後、内部と水まわりの解体から始め、1週間ほどで天井・床の仕上げと間仕切りを撤去。コンクリートの梁・柱・床スラブがあらわれる状態まで戻しました。
- 中盤
配管・電気の更新
給水・給湯・排水の配管を更新し、追い焚き用の配管を新たに敷設。分電盤の交換と配線の改修もこの時期です。続けて天井と間仕切りの下地を組みました。
- 後半
床下地・造作工事
置床で床下地をつくり、間仕切りにボードを張り、収納やカウンターを造作。同時に浴室とキッチンの設置を進めます。
- 完了
内装仕上げ・設備・完成
クロスと床の仕上げ、建具の吊り込み、設備の取り付けと結び。クリーニングを経て、7月に引き渡しとなりました。
17 / BEFORE / AFTER変化を、まとめて見る
和室 → 洋室


押入れ → 収納


廊下


※比較として意味のある場所だけを並べています。撮影の位置や画角は完全には一致していません。
18 / STAFF VOICE担当者から
リフォームは、物語。
この家で過ごした時間をなくすのではなく、次の世代がまたここで暮らせるように整える。
祖父母が暮らした住まいは、孫家族の新しい住まいになりました。
リフォームは、古いものを新しくすることだけではありません。
家族の物語を、次へつなぐ仕事だと考えています。
こちらの施工事例も是非ご覧ください


















担当:岩井 亮祐
解体が終わって、コンクリートだけになった3階に立ったとき、40年前にこの家を建てた人たちの仕事がそのまま出てきました。梁の位置も、壁の下地の組み方も。それを見てから、新しい間取りの線を引いています。
お引き渡しのとき、いちばん説明に時間をかけたのは配管でした。完成写真に一枚も写らない部分ですが、ここから先の何十年を決めるのはそこだからです。
前の暮らしのかたちをそのまま引き継ぐのではなく、これからの暮らしに合わせて整え直す。それが、住み継ぐということだと思っています。